介護施設のなかには、看護師と介護士の関係があまり良好ではなく「連携が上手くいかない」という職場は少なくありません。看護師と介護士の関係を良好に保ちながら、上手く連携を取り、スムーズに仕事をおこなうにはどうしたらいいのでしょうか?
そこで、今回は「看護師と介護士が良好な関係性を築くためのヒント」を紹介していきたいと思います。看護師と介護士の関係性で悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください!
看護師と介護士が対立しやすい理由
そもそも、なぜ看護師と介護士が対立しやすいのでしょうか?その理由について見ていきましょう。看護師と介護士の間に対立が起きやすい理由は色々ありますが、とくに多い理由をまとめてみました。■理由1.|「看護師は介護士より立場が上」という意識を持っている人がいる
「介護士より立場が上」という意識を持っている看護師は、介護士に対して威圧的な発言や行動をとる方が多い傾向にあります。たとえば、介護士よりも医療の知識が豊富であること、また介護士はおこなうことが出来ない医療行為をおこなえることに優越感を持ち、介護士を下に見ている態度や発言をする。このような言動が原因一つとなり対立が起こります。■理由2.|看護師のことを「偉そう・上から目線」と決めつけている人がいる
上記とは反対に、介護士が看護師に対して高圧的な言動をとる方もいます。「看護師=偉そう・上から目線」と介護施設で働く看護師のイメージを決めつけ、はなから看護師に対して敵対心を持っている介護士は少なくありません。そのため「看護師から指示されること」に対して、反感を持ち高圧的な態度や発言をするため対立が起こり、連携がスムーズにいかなくなってしまいます。■理由3.|看護師と介護士で重視しているポイントが異なる
看護師と介護士で対立が起こる要因の一つとして、意見が食い違うという点があります。それは、看護師と介護士それぞれに視点が異なるからです。看護師は「医療的な考え方を優先し、病気の治療や予防という視点からサポートをおこなう」介護士は「生活面を重視し、いかにその人が「自分らしく生活を送れるか」を第一に考えてサポートをおこなう」このように、視点や重視するポイント、アプローチ方法も異なるため「ケアに対する意見の違い」が起きやすく、対立に繋がってしまいます。上記のように、看護師と介護士が対立する理由は大きく分けると上記の3つに当てはまることがほとんどです。ここで、介護施設で働く看護師と介護士に覚えていて欲しいのは、看護師と介護士は職種も専門とする領域も異なるため「看護師の方が偉い」など、どちらが上ということは決しない
ということ。そして、看護師の「上から目線の発言・指示」は、すべてがそうとも限りらない
ということです。実際、その指示は「医師からのケア上の指示や助言」である場合も多く、看護師はその指示や助言を「介護士に伝達する」という仕事をしているだけということもあります。では、看護師と介護士が対立してしまう理由が分かったところで、看護師と介護士が良好な関係性を築くには、どうすればよいのでしょうか?次で、良好な関係性を築くポイントについて見ていきましょう。 看護師と介護士が「良好な関係性」を築く6つのPOINT!
看護師と介護士が良好な関係性を築くには6つのポイントがあります。
それは、
〇お互いの仕事を理解すること
〇お互いを尊重すること
〇理想のケアが一致していること
〇介護現場で必要となる知識を学ぶ姿勢を持つ
〇挨拶と感謝の言葉を忘れないこと
〇意見の相違があれば、原点に戻りベストを考える
ということです。
それでは、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
POINT(1)「お互いの仕事を理解する」
良好な関係性を築くために必要なことは、お互いの仕事を理解し認め合うことです。介護と看護、それぞれの仕事を理解することで「視点の違い」や「大変な点」などを知ることができます。それぞれの大変な部分を理解しておく、または理解する努力をすることで、お互いが大変な時にサポートしやすくなります。また、相手の状況を考えた発言や行動をとれるようになるため、お互いがイライラした感情や不満を持つことが少なくなります。◎介護と看護の違いについて知りたい方は、こちらのコラムもご覧ください! 「「介護」と「看護」の違いは3つ!!それぞれの役割とは?」 POINT(2)「お互いを尊重する」
良好な関係性を築くためには、お互いの意見を尊重することが大切です。
たとえば、医療面については医療の知識が豊富な看護師の意見を尊重するということ。また、介護のケアや入居者のことについては、常に入居者の状態を観察している介護士の意見や情報を大事にするということです。
お互いの仕事を理解し尊重する気持ちを持っていれば、自分の都合で押し付けるというようなことは起こらなくなり、意見が違えば話し合って解決できるようになります。
POINT(3)「理想のケアが一致している」
看護師と介護士が対立せず良好な関係性を築くには、理想としているケアが一致していることも重要です。看護師と介護士で理想像が違ってしまうと、ケアの方向性自体が変わってしまうため衝突が起こりやすくなります。介護施設で働く職員全員が、同じ理想像に向けてそれぞれ努力することが大切です。
POINT(4)「介護現場で必要となる知識を学ぶ姿勢を持つ」
介護現場では、介護の知識だけではなく医療的な知識も必要不可欠となってきます。そのため、介護施設には介護福祉士や看護師などその職域のプロが一緒に働いています。他職種が同じ職場で働いているからこそ、お互いがそれぞれの職種に歩み寄り、業務をよりスムーズに行うために必要となる知識を学ぶ姿勢を持つことが大切です。
介護士であれば、できる範囲から医療知識を学び、看護師が状況判断しやすくなる状況の伝え方を習得するなど。
看護師であれば、よりよい介護ケアの技術や知識を介護士から学び、利用者の情報など介護士の意見を大事にし介護現場や実情などを重視するなど。
相手の業務がスムーズに進むように「気遣う」ということが大事になってきます。
POINT(5)「挨拶と感謝の言葉を忘れない」
良好な関係性を築くには、挨拶や感謝の言葉など基本的なコミュニケーションをしっかりと取ることが大切です。介護施設は他職種が多く働いている職場であるため、コミュニケーションは欠かせません。仕事に関係のない話をするなど、日頃から職員同士がたくさんコミュニケーションを取ることで報告や相談をしやすい職場環境を作ることができます。とくに、何かを手伝ってもらった時など「ありがとうございます」「助かります」といった、感謝を伝える言葉は相手にしっかりと言うことが大切です。
他職種だけでなく同じ職種同士であっても、常に感謝を伝えることは良好な関係性を築くために必要かつ重要なポイントといえます。 POINT(6)「意見の相違があれば、原点に戻りベストを考える」
看護師も介護士も真剣に仕事に向き合っているからこそ、時には意見の相違も起こります。
意見が対立したときこそ、自分の意見を通すことにこだわるのではなく、原点に戻り「対象となる利用者にとってベストはなにか?」を考えることが大切です。
「利用者を中心とした視点でお互いが意見を出せているか?」
「利用者が最も必要としていることはなにか?」
など、利用者にとって最善の方法を考えていきましょう。
まとめ
看護師と介護士の関係を良好に築くには、対等な立場でお互いの仕事を理解し、認めあうこと、そして普段からコミュニケーションをたくさん取ることが大切です。
スタッフ同士の関係性が悪いと、そのピリピリした空気感が入居者にも伝わり、施設全体の雰囲気も悪くなってしまいます。入居者がリラックスして和やかに過ごせる空気感を作るためには、スタッフ同士の関係性がとても重要になることを覚えておきましょう。また良好な関係を作ることは、入居者にとってより良いサービスや環境に繋がり、さらには施設の質を向上させることにも繋がります。看護師と介護士の連携が上手くいかず悩んでいる方は、まず相手の仕事を理解する、そしてコミュニケーションを取ることから始めてみましょう! 介護の転職なら介護ワーカー!