陰部洗浄は皮膚の清潔保持に必要!手順や留意点などを解説!

更新日:2023年03月14日

公開日:2023年03月14日

病室

陰部洗浄の手順がわからず悩んでいる介護職員はいませんか?陰部洗浄は陰部の清潔を保持するために必要なケアです。ただ、手順や必要な物品などを覚えなければならないため、経験の浅い介護職員にとっては難しく感じるかもしれません。また、デリケートな部分をケアするため、羞恥心への配慮も必要です。今回は、経験の浅い介護職員が自信を持って対応できるように、陰部洗浄を行う理由や手順、留意点などについて解説します。

なぜ陰部洗浄をするの?

考えるスタッフ

まず陰部洗浄の概要や行う理由などについて解説します。

陰部洗浄とは

陰部洗浄とは、入浴ができない利用者様やおむつを利用している利用者様に対して、清潔を保持するために陰部を洗浄することです。陰部洗浄はデリケートな部分をケアするため、羞恥心の配慮もポイントです。また、普段から観察できない部分であるため、皮膚のトラブルがないかを確認できる機会でもあります。頻度は一日一回が目安ですが、利用者様の状態などによって調整が必要です。利用者様にあった頻度を確かめて行うようにしましょう。

皮膚の清潔を保持するために必要!

陰部洗浄をする目的は、利用者様の陰部の清潔保持です。陰部は汚れやすい部分であり、汚れている状態では皮膚のトラブルの原因になってしまうためです。特に皮膚を保護する機能が衰えている高齢者にとっては、陰部洗浄は必要不可欠なケアと言えます。手順や陰部の特徴を理解し陰部洗浄ができるようになりましょう。

皮膚の清潔保持の重要性を理解する

皮膚そのものにも着目してみましょう。皮膚の清潔保持は重要です。なぜなら、皮膚は汚れやすい器官と言えるためです。皮膚は体全体を覆い体を守っています。しかし、皮膚は汗腺や皮脂腺があり、新陳代謝によって体の内側から汚れを排出するために汚れやすくなっています。また、皮膚には体外の汚れや細菌などもつくため、皮膚の清潔保持は健康に生活するために必要なのです。

陰部洗浄の手順とは

高齢者とスタッフ

次に陰部洗浄の手順について解説します。手順の理解によって必要な物品が覚えやすくなり、陰部洗浄の準備が論理的に覚えられます。

必要な物品を準備する

陰部洗浄に必要な物品を準備します。必要な物品は以下とおりです。

●    タオルケット
●    バスタオル
●    防水シーツ
●    マスク(必要に応じて)
●    おむつ(交換用)
●    差し込み便意(おむつを使用する場合もある)
●    洗浄ボトル(38~41℃のぬるま湯)
●    陰部洗浄用のタオル(洗浄用・すすぎ用。ガーゼを使用する場合もある)
●    ビニールエプロン
●    ディスポーザブル手袋
●    石けん
●    ビニール袋


後ほど手順を解説しますが、手順をイメージすると必要な物品が覚えやすくなるでしょう。

利用者様に同意を得る

陰部洗浄の目的や内容を利用者様に説明し同意を得ます。陰部洗浄をする予定になっているからといって、利用者様の意に反して無理に行うことはしないでください。同意を得る際は、利用者様の気分や体調も確認します。また、居室のカーテンやドアでのプライバシー空間の確保も忘れないようにしましょう。

介護職員は感染対策や物品を配置する

介護職員は感染対策のために、ビニールエプロンやディスポーザブル手袋を着用します。必要に応じてマスクもしてください。感染対策はスタンダードプリコーション(標準予防策)にもとづいて行います。また、やりやすさや迅速なケアのために、必要な物品を利用者様の周辺に配置します。物品は陰部洗浄の手順や動きを意識して配置しましょう。

利用者様の準備

防水シーツを利用者様の臀部の下に敷きます。利用者様の体位は仰臥位で、膝を立ててもらいます。腰のあたりまで肌を露出してもらいますが、利用者様の羞恥心への配慮と体を保温するために、タオルケットやバスタオルをかけてできるだけ肌の露出を少なくしてください。その後、お湯が腹部や腰などに流れないように、横長に折ったタオルで陰部を囲うように腹部と両鼠径部に当てます。

男性の場合の陰部洗浄

洗浄ボトルのお湯の温度を確かめてから陰部にかけます。このときに、利用者様へお湯の温度がちょうどよいか確認してください。お湯をかけながらタオルで陰部を洗います。利用者様が男性の場合、尿道口に湯が入らないように注意することが重要です。洗うときは性器を持ち上げ皮膚を体幹側に引き寄せ皮膚をのばしながら洗います。また、陰嚢の裏側も丁寧に洗ってください。洗ったあとはタオルで上から下へ軽く押さえながら水分を拭き取ります。

女性の場合の陰部洗浄

男性と同様に洗浄ボトルのお湯の温度を確かめてから陰部にかけ、利用者様へお湯の温度がちょうどよいか確認します。利用者様が女性の場合、最初に恥骨部や鼠径部を洗います。尿路感染や膣炎を防止するために、洗うときは上から下に向けてするようにしてください。また、恥垢がたまりやすいため、大陰唇茎を開いて少陰唇との間もしっかり洗うことが重要です。洗ったあとは男性と同様にタオルで上から下へ軽く押さえながら水分を拭き取ります。

陰部洗浄の留意点とは

看護師達

ここでは、羞恥心への配慮や皮膚のトラブルの確認といった陰部洗浄をするときの留意点について解説します。

羞恥心への配慮が必要

陰部洗浄では利用者様の羞恥心への配慮が必要です。なぜなら、陰部がデリケートな部分であるためです。以下の点に注意して陰部洗浄を行ってください。

●    居室の扉やカーテンによる環境面でのプライバシー空間の確保
●    タオルケットやバスタオルでできるだけ露出は少なくする
●    迅速で適切なケアをする


迅速なケアは陰部洗浄を短時間で終わらせられることにつながります。短時間で陰部洗浄を終わらせることで、羞恥心への配慮にも対応できます。迅速なケアをするためには、陰部洗浄前の必要な物品や物品の配置などの準備が重要です。ただ、速さだけを意識しすぎて、利用者様への同意を得ることを忘れないようにしてください。

皮膚のトラブルがないか確認する

陰部洗浄では、陰部やお尻まわりの皮膚のトラブルがないかをしっかり確認しましょう。なぜなら、陰部やお尻まわりは通常のケアでは確認しにくい部分であるためです。観察項目は、陰部やお尻まわりに発赤や褥瘡がないかの確認です。特に膀胱留置カテーテルを挿入している利用者様は、カテーテルの圧迫によって潰瘍やびらんなどがおこりやすい状態のため、異常がおきていないかを確認してください。発赤・褥瘡や膀胱留置カテーテルによる潰瘍・びらんなどの観察項目に留意して陰部洗浄をしましょう。

介護職員は陰部洗浄を理解し自信を持とう!

笑顔のスタッフ

陰部洗浄は、陰部の清潔を保持するためのケアです。陰部が汚れやすい部分であることや頻度、皮膚の清潔保持の重要性を理解してケアをしましょう。陰部洗浄では、必要な物品や利用者様の準備、物品の配置、男性・女性別のやり方の違いなどを理解することが、手順を覚えやすくするコツです。また、陰部洗浄の留意点としては、利用者様の羞恥心への配慮やケアするときの皮膚トラブルの確認です。特に膀胱留置カテーテルを挿入している利用者様は、異常がおきやすいためしっかり確認してください。経験の浅い介護職員は不安に感じるかもしれませんが、一つひとつを理解することによって、難しく感じる陰部洗浄に自信を持って対応できますよ。

※掲載情報は公開日あるいは2023年03月14日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。

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