更新日:2020年06月13日
公開日:2019年10月09日
喀痰吸引等研修とは、以前まで医師や看護師などが行っていた痰の吸引や経管栄養という医療行為を、2012年の法改正より介護現場でも実施できるようになったことを受けて新しく制定された資格です。痰の吸引と経管栄養は、カテーテルやチューブを使用して痰や唾液を排出したり、栄養剤を注入したりする治療法で、喀痰吸引等研修を修了した方は医師や看護師の監督のもと医療行為を行うことができます。
現代において、介護現場で痰の吸引などの治療が必要な要介護者は増加しているため、医療行為の知識がある喀痰吸引等研修修了者の需要は高まっています。
喀痰吸引等研修の資格が、介護分野で医療行為行うためには取得しておきたい資格ということがわかりますよね。
ここからは、喀痰吸引等研修の資格を取得するメリットについて詳しくみていきましょう。
喀痰吸引等研修の資格を持っている方はまだ少ない現状にありますが、痰の吸引などの治療が必要な方は多くいらっしゃいます。喀痰吸引等研修の資格を取得していれば、無資格では担当できなかった重度の要介護者にもサービスを提供できるようになるため、資格取得者はあらゆる介護現場で必要とされています。仕事の幅を広げたいという方にはおすすめの資格となっています。
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喀痰吸引等研修では、人体模型を使用して痰の吸引を体験する演習があります。カテーテルなどの扱い方は看護師などに指導を受け、研修の最後には自身の勤務先で練習した治療を実際に行えるかを確かめる実地研修があります。実地研修に関しては、実際に治療がスムーズにできるようになるまで繰り返し研修を受けられるため、資格を取得した後にはすぐ治療を行うことができます。喀痰吸引等研修の資格を取得することで、現場ですぐ役に立つ実践的な技術を身につけられるでしょう。
喀痰吸引等研修には第1号研修、第2号研修、第3号研修と呼ばれる3種類の研修があり、それぞれの研修カリキュラムに含まれる基本研修、実地研修のどちらともを修了することで資格取得をすることができます。3つの研修は治療を行う相手の症状や、実施できる治療方法によって分類されているため、自身の希望する研修いずれかを選択し受講してください。受講資格やそれぞれの研修内容については以下のとおりになります。
喀痰吸引等研修の資格取得において、学歴や経験などの受講資格はありません。そのため、未経験の方も受講が可能となっています。しかし、研修実施機関によって特定の資格を取得していれば一部研修が免除になることもあるため、詳細については各実施事業所に問い合わせてみましょう。
喀痰吸引等研修の資格を取得するには、都道府県知事から指定された事業所で研修を受ける必要があります。
研修の開始時期は事業所によって異なりますが、基本研修に要する期間は第1号、第2号研修は8~10日ほど、第3号研修は2日ほどとなっているようです。
また、受講費用に関しては第1号、第2号研修は10~20万円ほどと事業所によって違いがありますが、第3号研修は5万円ほどが主流になっているようです。早めに申込を行っていれば、受講費用が割引される事業所もあるため、資料請求をするなどして情報収集をしっかり行ってから受講の申込を行いましょう。
ここからは、3種類の研修それぞれで学習する内容についてご紹介していきます。
喀痰吸引等研修の基本研修は講義と演習に分かれており、医療に関する基本知識を学ぶだけでなく、人体模型を使用して実際の器具の扱い方などを演習します。
第1号研修では、合計50時間の講義を受けなければならず、基本研修の修了時には知識の確認のための筆記試験を受け、合格する必要があります。
基本研修の演習では、看護師などの指導のもと痰の吸引などの治療練習を行い、十分な治療技術が身についた方から実際に勤務先で実地研修を行っていきます。
第1号研修の全課程修了後、都道府県に「認定特定行為業務従事者」の認定申請を行い、認定証の交付を受けた方が「登録特定行為事業者」の登録を受けている事業所で、不特定多数の方に治療を行うことができます。
第1号研修で学習する内容や受講時間数などについては以下の表をご覧ください。(※)
学習内容 | 時間数あるいは回数 | |||
---|---|---|---|---|
基本研修 | 講義 | 人間と社会 | 1.5時間 | 50時間 |
保健医療制度とチーム医療 | 2時間 | |||
安全な療養生活 | 4時間 | |||
清潔保持と感染予防 | 2.5時間 | |||
健康状態の把握 | 3時間 | |||
高齢者及び障害児・者の 喀痰吸引概論 | 11時間 | |||
高齢者及び障害児・者の 喀痰吸引実施手順解説 | 8時間 | |||
高齢者及び障害児・者の 経管栄養概論 | 10時間 | |||
高齢者及び障害児・者の 経管栄養手順解説 | 8時間 | |||
演習 | 口腔内の喀痰吸引 | 5回以上 | ||
鼻腔内の喀痰吸引 | 5回以上 | |||
気管カニューレ内部の喀痰吸引 | 5回以上 | |||
胃ろうまたは 腸ろうによる経管栄養 | 5回以上 | |||
経鼻経管栄養 | 5回以上 | |||
救急蘇生法 | 1回以上 | |||
実地研修 | 口腔内の喀痰吸引 | 10回以上 | ||
鼻腔内の喀痰吸引 | 20回以上 | |||
気管カニューレ内部の喀痰吸引 | 20回以上 | |||
胃ろうまたは 腸ろうによる経管栄養 | 20回以上 | |||
経鼻経管栄養 | 20回以上 |
第2号研修では、第1号研修とほとんど同じカリキュラムで、50時間の講義を受ける必要があります。ただ、第2号研修は第1号研修と違う点があり、それは実施できる治療方法が限られている点です。第2号研修の実地研修では「気管カニューレ内部の喀痰吸引」と「経鼻経管栄養」については学習できず、それ以外の3つの治療方法について学習することとなります。
そのほかの講義内容や認定手続きに関しては、第1号研修と同じで、第2号研修の資格取得者も不特定多数の方に治療を行うことができます。
第3号研修の資格取得者は、第1号、第2号研修の資格取得者と違って重度障害者など特定の方にのみ治療を行うことができます。そのため、研修カリキュラムの内容などはほか2つの研修と異なってきます。
基本研修では、合計8時間の講義を受けた後人体模型を使った演習を1時間行います。実地研修の回数に制限はなく、受講者が看護師から治療を行っても問題がないという評価を受けるまで研修を受けなければなりません。
第3号研修で学習する内容や受講時間数などについては以下の表をご覧ください。(※)
学習内容 | 時間数あるいは回数 | |||
---|---|---|---|---|
基本研修 | 講義 | 重度障害児・者の 地域生活等に関する講義 | 2時間 | 9時間 |
喀痰吸引等を必要とする 重度障害児・者等の障害及び 支援に関する講義 | 6時間 | |||
緊急時の対応及び 危険防止に関する講義 | ||||
演習 | 喀痰吸引等に関する演習 | 1時間 | ||
実地研修 | 口腔内の喀痰吸引 | 回数に限りはなく、 医師などが十分知識や技術を 習得した受講者と認めるまで実施。 | ||
鼻腔内の喀痰吸引 | ||||
気管カニューレ内部の喀痰吸引 | ||||
胃ろうまたは 腸ろうによる経管栄養 | ||||
経鼻経管栄養 |
喀痰吸引等研修筆記試験の合格率については公表されていませんが、第1号、第2号、第3号研修いずれも多肢選択式の問題で、9割以上を得点した方が合格となります。正答率が9割以上と聞くと難しい試験と感じるかもしれませんが、問題は講義内容から出題されるため、しっかり復習していればそこまで難易度が高くない試験といえるでしょう。もし不合格の場合でも再試験を受けられるところが多いようです。
医療行為のできる喀痰吸引等研修の資格取得者は介護業界で貴重な存在です。まだ資格取得者は少ない現状にありますが、あらゆる現場で活躍が期待されています。医療行為を行えるということは要介護者に安定した生活を提供することができるとともに、自身のスキルアップにもつながります。
介護分野で活躍していくために、喀痰吸引等研修の資格取得に挑んでみてはいかがでしょうか。
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※掲載情報は公開日あるいは2020年06月13日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。