更新日:2020年06月13日
公開日:2019年10月11日
精神保健福祉士とは、1997年に完成した国家資格で精神障がいのある方やそのご家族から相談を受けたり、社会復帰をするための指導を行ったりと精神保健福祉に関する支援を行う専門家のことをいいます。精神保健福祉士は、別名「精神科ソーシャルワーカー(PSW)」とも呼ばれています。
ストレス社会に陥っている現代の日本では、精神疾患を患っている方が増加しており、精神障がい者が社会へ進出していくためには、精神保健福祉士の存在が必要不可欠になっています。
精神保健福祉士は、精神障がい者が快適に生活していけるように社会と精神障がい者の橋渡しをする役割を担っています。精神保健福祉士の業務は、勤務先によって仕事の内容が変わってきます。病院では精神障がい者の生活支援が主な仕事で、入退院のサポートを行っています。
生活支援施設では施設によって違いがありますが、家事などの基本動作の訓練をしたり、社会復帰するためのアドバイスを提供したりしています。これらの仕事を行うには、医師などの関係者との連携が必ず必要になり、情報共有をすることも精神保健福祉士の重要な仕事になっています。
精神保健福祉士はさまざまな分野で活躍しています。主な職場の例は、病院や診療所などの医療機関、保健所や精神保健福祉センターなどの行政機関です。行政機関で働く場合は公務員として働くこととなるため、非常に人気が高くなっています。
ほかにも、司法機関では精神障がいが原因で罪を犯してしまった方に対して社会復帰のプログラムを組んだり、教育機関では生徒のメンタルヘルスケアを行ったりと仕事の範囲は幅広くなっています。
また、最近では高齢者の精神福祉に関するニーズが高くなっているため、老人保健施設へ就職する方も増加してきています。
このように精神保健福祉士はさまざまな職場で働いており、今後も活躍の場は増加すると期待できるでしょう。
では、精神保健福祉士の資格を取得することで得られるメリットをみていきましょう。
介護分野では、精神保健福祉士の資格がなくても仕事をするうえで支障はありませんが、精神保健福祉に関する知識を習得することで、携われる仕事の範囲を広げることができるでしょう。精神面で要介護者を支えていくためにも、精神保健福祉士の資格取得をおすすめします。
介護分野において、精神保健福祉士の求人募集をしているところはまだ少ない現状にはあります。
しかし、介護分野で働いている方は精神保健福祉に関する知識がない無資格者が多いのにも関わらず、要介護者の中には精神疾患を患っている方もいらっしゃいます。そのため、精神保健福祉に関する専門的な知識を持った精神保健福祉士は、貴重な存在で必要とされています。
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精神保健福祉士の資格を取得するには、公益財団法人社会福祉振興・試験センターが実施している国家試験を受験し、合格する必要があります。
ここからは、公益財団法人社会福祉振興・試験センターのホームページを参考に、精神保健福祉士の資格取得までの流れをご説明していきます。
精神保健福祉士の受験資格を得るためには、11通りの方法があります。それらを福祉系大学で指定科目を履修済の場合、短期養成施設へ通わなければならない場合、一般養成施設へ通わなければならない場合の3つに分けて確認していきましょう。
公益財団法人社会福祉振興・試験センターより
精神保健福祉士の資格を取得するには、以上のように11通りの受験資格を得る方法があります。
国家試験を受験する割合が高いのは、福祉系の大学を卒業している方や実務経験を積んでいる方が多くはなりますが、一般大学(4年制)卒業後に一般養成施設で講座を受講してから受験資格を得る方ももちろんいらっしゃいます。
精神保健福祉士の受験申込は毎年9月上旬~10月上旬となっています。
受験の申込を行うには、郵送またはホームページで『受験の手引』を請求し、取り寄せる必要があります。『受験の手引』に沿って申込に必要な書類を作成し、事務局に提出してください。申込期間を過ぎてからの受付は行われないため、期間に余裕をもって書類を提出しておきましょう。
また、申込時には受験料17,610円の払込が必要になります。受験申込が問題なく受理されれば、受験票は12月上旬ごろに発送されます。
精神保健福祉士国家試験は毎年2月上旬に2日に分けて実施されています。
試験の2日目は社会福祉士国家試験と共通の問題が出題されるため、社会福祉士国家試験と同時受験をすることが可能です。その場合は受験料が変わってくるため、注意しましょう。試験は北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、福岡県の7つの試験場にて行われます。
また、試験の形式は筆記試験のみで実技試験はなく、多肢選択式の問題が163問出題されます。
国家試験の合格発表は、毎年3月中旬頃に行われます。
公益財団法人社会福祉振興・試験センターのホームページに合格者の受験番号が掲載されますが、試験に合格しただけではすぐに精神保健福祉士として働くことはできません。精神保健福祉士として働くには、資格の登録が必要になります。
国家試験合格者には、合格証書と一緒に登録申請書類が送付されるため、それに必要事項を記入し資格登録申請を行いましょう。登録申請を行う際には、登録免許税15,000円と登録手数料4,050円が必要になります。登録申請が受理された方には、申請から1ヶ月半程度で登録証が発行されます。
(※2) 厚生労働省 精神保健福祉士国家試験の受験者・合格者の推移
近年の精神保健福祉士国家試験の合格率は60%程度(※2)を推移している状況にあります。合格率60%というのは、国家試験の中では比較的高い数字であるため、難易度はそれほど高くないといえるでしょう。
しかし、難易度は高くないとはいっても、試験の合格ラインは正答率60%以上かつ16科目すべてにおいて得点することが条件となっているため、しっかり復習し幅広い範囲の知識を習得していないと合格は難しいでしょう。
試験対策のためには問題集を繰り返し解くことが大切ですが、過去の試験問題を解いて出題傾向を知ることも重要でしょう。過去問題は公益財団法人社会福祉振興・試験センターのホームページに掲載されているため、参考にしてみてください。
主に精神保健福祉士が働いている職場は、医療機関が多くはなっています。
しかし、前述したとおり高齢者の精神保健福祉分野のニーズが高まっていることから、今後介護分野で精神保健福祉士の需要が増加すると考えられます。
精神疾患を抱えて困っている方の精神面のケアをしながら相談援助のプロとして働くために、精神保健福祉士の資格取得にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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※掲載情報は公開日あるいは2020年06月13日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。