スキルをつけるならこの資格!実務者研修の資格について【カイゴワーカー】
実務者研修とは、かつての「ホームヘルパー1級」や「介護職員基礎研修」に相当する資格で、2013年に新しく制定されました。実務者研修は介護を必要とされる利用者さんに、より良質な介護サービスを提供するため、幅広い分野の介護知識と実践的な介護技術の習得を目的として実施されています。
また、2016年度に実施された介護福祉士国家試験で受験資格に変更があり、3年以上の実務経験と合わせて、実務者研修を修了していることが義務づけられました。今後介護分野で活躍していくためには、とても重要な資格となっています。
実務者研修がどのような資格かということは、おわかりいただけたかと思います。
では、実務者研修の資格を取得するメリットには何があるのでしょうか?詳しくみていきましょう。
実務者研修では、さまざまな介護の分野について学習します。以前までは医師や看護師でなければできなかった、「たん吸引」や「経管栄養」についても学ぶことができます。病院に限らず高齢者が多い介護施設では、たん吸引などを実施しなければならない場合があります。
今後も高齢者は増加していくと考えられるため、実務者研修を修了していれば、自身の仕事の幅が広がると考えられるでしょう。
サービス提供責任者になるには、原則として実務者研修を修了することが条件とされています。そのため、実務者研修を修了していることで、介護職員としてさらなるキャリアアップが望めます。
サービス提供責任者とは、ケアマネージャーが作成した介護プランをもとに介護サービスの計画を立てたり、ヘルパーへ指導を行ったりすることが主な仕事で、介護保険法で定められた正式な職業名です。介護施設に配置が義務づけられている職業となっているため、高齢化が進む現代において、介護分野に必要不可欠な存在となっており、需要も高まっています。
介護職員からサービス提供責任者へとキャリアアップすることで、さらなる上級資格の取得やケアマネージャーとしての道など、待遇の向上や長期的なキャリアアップへの道も夢ではありません。
実務者研修の資格を取得するメリットがわかったところで、ここからは、実際に行われている実務者研修の詳しい内容についてみていきましょう。
実務者研修を受講するためには、学歴などの特別な資格は必要なく、未経験の方でも受講が可能となっています。しかし、すでに介護職員初任者研修を受講している場合やホームヘルパーの資格を取得している方は一部の科目の受講が免除されます。
実務者研修の資格を取得するためには、主にスクールに通いながら勉強するか、通信講座を受講するかの2つのパターンがあります。ただし、実務者研修の実施機関によって、受講のスケジュールや申込方法、費用などには違いがあります。
そのため、実施機関のホームページを確認したり、資料請求をしたりして十分に情報収集をしてから、自身に合った受講方法で実務者研修に臨みましょう。
実務者研修の受講期間は無資格者の場合、6ヶ月間が基本となっていますが、実施機関によって受講期間にも差があります。介護福祉士の国家試験に合わせて受講期間を設定している実施機関も多いため、介護福祉士の資格取得を目指している方はその点についてもよく確認しておきましょう。
長期間の研修になるため、働きながら資格取得を目指している方は、どうしても受講できない日が出てくるでしょう。そんな方のために、授業日をほかの日に振替えたり、受講期間を延長したりと自身の仕事に合わせて研修内容を変更できるところもあります。
原則20科目、合計450時間のカリキュラムを修了することで、実務者研修の資格を取得することができます。実務者研修の全カリキュラムを修了すると実務者研修修了証が発行されます。
しかし、前述したとおりホームヘルパー1、2、3級や介護職員基礎研修の資格を取得している方は免除科目があります。実務者研修の学習科目や時間数については以下の表のとおりになります。
実務者研修学習科目 | 学習時間 | ホームヘルパー1級 | ホームヘルパー2級 | ホームヘルパー3級 | 介護職員基礎研修 |
---|---|---|---|---|---|
人間の尊厳と自立 | 5 | - | - | - | - |
社会の理解| | 5 | - | - | - | - |
社会の理解|| | 30 | - | ● | ● | - |
介護の基本| | 10 | - | - | ● | - |
介護の基本|| | 20 | - | - | ● | - |
コミュニケーション技術 | 20 | - | ● | ● | - |
生活支援技術| | 20 | - | - | - | - |
生活支援技術|| | 30 | - | - | ● | - |
介護過程| | 20 | - | - | ● | - |
介護過程|| | 25 | - | ● | ● | - |
介護過程?(スクーリング) | 45 | ● | ● | ● | - |
発達と老化の理解| | 10 | - | ● | ● | - |
発達と老化の理解|| | 20 | - | ● | ● | - |
認知症の理解| | 10 | - | ● | ● | - |
認知症の理解|| | 20 | - | ● | ● | - |
障害の理解| | 10 | - | ● | ● | - |
障害の理解|| | 20 | - | ● | ● | - |
こころとからだのしくみ| | 20 | - | - | ● | - |
こころとからだのしくみ|| | 60 | - | ● | ● | - |
医療的ケア | 50 | ● | ● | ● | ● |
実務者研修合計時間数 | 450 | 95 | 320 | 420 | 50 |
実務者研修に試験の実施義務はないため、基本的に受講カリキュラムに沿って勉強し、研修を修了すれば資格取得ができます。
しかし、実務者研修の実施機関によっては、試験を行っているところもあります。試験があるといっても、授業で学習した内容から出題されるため、授業内容をしっかり復習していれば、難易度は高くないといえます。もし、試験の得点が合格点に達していなかった場合でも、追試を行っているところが多いため、そこまで心配する必要はないでしょう。
実務者研修は受講期間が長期に渡り、また学習範囲も広いですが、資格取得をすることでさらに介護分野の専門的な知識を深めることができます。
また、介護福祉士あるいはサービス提供責任者などのキャリアアップを目指している方や、仕事の幅を広げたいという方は取得しておきたい資格となっています。実務者研修の資格取得者には資格手当がつく職場が多く、給料アップも期待できるため、取っておいて損はない資格といえるでしょう。
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